悉皆屋さん

 悉皆とは「ことごとく、すべて(残らず、すべて)」という意味です。

 

江戸時代、大坂で染め物・洗い張り(※1)などの注文を取り、京都の専門店に取り次ぐことを業とした者を指しており、

転じて、染色、染め直し、シミ落とし、洗い張り、仕立てなど染織に関する一切を請け負い調整すること、また、その業者を悉皆屋といいます。

きものに関する相談ならなんでもOK。悉皆業は、きものプロデューサーと言われています。

 

 kimo no kiruの商品は、きものを解いた後クリーニングをしております。手洗いができないものは、悉皆屋さんにお願いして湯のし(※3)をしております。蒸気の効果で、しわ・針穴、また”歴史”を感じる特有の臭いを除去することができます。

 

 経年によるシミは簡単には落ちませんが、それはそれで味だと思っています。

先日亡くなられた樹木希林さんのエピソードですが、ある日、お召しになっていた洋服の背中に大きなシミのあることに気づいたある女優さんがそのことをお伝えすると「味があっていいでしょ?」とおっしゃったそうな。流石唯一無二の女優さんです。ご冥福をお祈りいたします。

 

でもやっぱり気になるという方には、箔や刺繍を施すという対応もしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

※1 和服を解いて洗い、糊のりをつけ、板張りや伸子(※2)張りにして幅を整え乾かすこと。

※2 布幅を一定に保つ道具。形状は、両端を尖らせた、あるいは針を植えた細い竹棒(木棒)。

※3 反物に蒸気をあてて生を柔軟にすると同時に、皺を伸ばし、幅を整える作業のこと。

湯のし後
湯のし後

きものを解いた後バラバラになったパーツを接縫いをし反物の状態に戻し、蒸気をあてます。

 

元は立涌の地紋に扇文の小紋
元は立涌の地紋に扇文の小紋

立涌は有職文様で貴族の衣料や能装束に用いられており、

現代でも格調の高い文様として主に晴れ着のきものや帯に使われています。

扇は「末広」とも呼ぶように、末広がりの形は発展・繁栄の吉祥として好まれる文様です。